がん告知が主流となった現代では、がんの検査、診断、再発、治療という流れのなかで心理的ショックを受ける患者は多く、うつ病や適応障害、せん妄などの精神症状を発症するケスも少なくない。精神症状そのものの治療が必要のうえ、自殺やがん治療への意欲低下、入院の長期化など、さまざまな問題を招くことにもなる。こうしたがん患者のこころのケアを中心とする精神医学を「サイコオンコロジー(精神腫瘍学)」という。日本では2002年4月から常勤精神科医を中心とした緩和チームによるがん患者の診療に保険が適用されている。